
犬糸状虫とも呼ばれるフィラリアは、蚊が媒介して犬の肺動脈や心臓に寄生し、全身の血液循環や内臓にも深刻な障害を与える恐ろしい虫です。その健康被害から愛犬を守るために、フィラリアの生態について理解しておきましょう。
犬の末梢血液中のミクロフィラリア
写真提供/サエキベテリナリィ・サイエンス 佐伯英治 先生
フィラリア成虫は、オスで体長約17cm、メスで約28cmと細長く、乳白色のソーメンのような形をしています。フィラリアが成虫となるには、フィラリアを媒介する蚊の体内でミクロフィラリアから感染力を持つ幼虫へ発育することが必要で、日本では約16種類の蚊がフィラリアを媒介します。これらの蚊が犬の血を吸う時に、フィラリアの幼虫が犬の体内に侵入し、寄生します。また、犬だけでなく猫や人への感染も報告されています。
主に昼間に行動するヒトスジシマカ、夜に行動するアカイエカなど、媒介する蚊は日本で16種類が知られています。以下に代表的な蚊をご紹介します。
| ヒトスジシマカ (ヤブカ) |
背中の部分に白い線があるのが特長で、体長は約5mm。明るい間に活動し、夜は活動しない。小さな水たまりなどがあればどこでも産卵する。本州(東北南部以南)から四国・九州に分布している。 |
|---|---|
| アカイエカ |
住宅地に多く、夜に吸血する蚊の代表。胸のあたりが淡赤褐色で体長約5.5mm。活動時間は主に夜から明け方。人間や鳥類の血を好んで吸う。幼虫は下水や水たまりなどを発生源としている。日本全土に分布している。 |
| チカイエカ |
都心で最近増え、問題になっている蚊。ビルの地下の水たまり、地下鉄の線路わきの溝、排水溝などを発生源としている。成虫は冬でも活発に活動する。アカイエカに似ているが生態的には異なる部分が多い。 |