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獣医療関係者の方へ

獣医療関係者向け情報ズーノーシス&定期駆虫の啓発をサポートする各種専門情報をご紹介。

瓜実条虫症

瓜実条虫(サナダ虫)の幼虫が潜んでいるノミの成虫を、グルーミングなどで犬や猫が誤って取り込むと感染します。通常は成虫が寄生しても無症状ですが、濃厚感染すると下痢症状を呈することもあります。人ではノミを潰した手をなめるなどして感染し、成虫が寄生したという症例が複数報告されています。予防としては、犬・猫へのノミ駆除が有効な対策の一つとなります。

病原体

瓜実条虫の成虫

瓜実条虫の成虫

犬・猫へ感染した場合

症状

ほとんどが無症状で経過しますが、腸管内で切り離された虫体の一部(片節)が肛門から排泄されるときに動物は痒みを訴え、さかんに肛門周囲を気にします。また糞便の表面で片節が伸縮運動するため、それを見つけた飼い主は不快感を覚えます。多数の瓜実条虫に寄生を受けたときに、激しい下痢や体重減少を起こすことがあります。

治療法

寄生虫駆除剤によって比較的容易に駆除できます。

予防法

犬・猫へのノミの寄生・繁殖を防ぐことが瓜実条虫の感染リスク減少につながります。

  • 定期的にノミの駆虫を行い、感染を予防する。
  • ノミの寄生・繁殖状況に応じて、ノミ成虫駆除効果と幼虫・卵の成長阻害効果を併せ持つ薬剤を使用する。
  • ペットが普段よく過ごしている場所、特に寝床を中心に掃除を徹底する。
  • ペットに使用しているタオルやマットなどは、ノミの卵が付いている可能性があるため、沸騰した湯に入れてよく洗う。
  • ブラッシングやシャンプーなどを定期的に行う。

人へ感染した場合

ペットの犬や猫、または非飼育犬や野良猫に接触したあとに、ノミの人体への付着や寄生がないか確認し、誤ってノミを口にしないように注意する。またウサギやネズミなどの小型哺乳動物にもネコノミは寄生しているため注意する。特に後者はほぼ100%ノミに感染しているといえるため要注意です。

症状

ほとんどが無症状ですが、おもに幼児に下痢や腹痛が見られます。乳児では、オムツの中に瓜実条虫の片節が見られることがあります。

感染経路
[経口感染]

犬猫の体表上やじゅうたんの上などにいるノミを潰してしまった際に、手などに付着した瓜実条虫の幼虫を誤って食べてしまうことで感染します。

治療法

人用の条虫駆除薬で駆虫する。

予防法

ペットへのノミの寄生だけでなく、住環境におけるノミの物理的・化学的防除が必要です。

  • 定期的にペットへのノミ成虫の駆虫を行う。
  • ペットの休憩場所を中心に室内の四すみ、ソファーやベッドの下などノミの卵や幼虫が繁殖しやすい場所を、特に念入りに掃除する。
  • 掃除機のゴミパックに、首輪型のノミ駆除剤を切って入れておくことも効果的。
  • 室内でノミの繁殖が見られる場合は、室内用のノミ・ダニ駆除剤などを用いてノミ成虫および幼虫を駆除する。
  • 帰宅する際に、衣服をブラッシングするなどして、ノミを家の中に持ち込まないようにする。
  • 乳幼児においては、食事やおやつの前の手指消毒を徹底する。
(文責 獣医学博士 佐伯英治)