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獣医療関係者の方へ

獣医療関係者向け情報ズーノーシス&定期駆虫の啓発をサポートする各種専門情報をご紹介。

ノミ寄生による皮膚炎

ノミが犬・猫や人の体に寄生すると、刺咬されたときの刺激などによるノミ刺咬症や、ノミの唾液に対して反応するノミアレルギー性皮膚炎などの皮膚疾患を引き起こします。予防には犬・猫へのノミ駆除対策や屋内外における物理的・化学的ノミ防除が有効となります。

ご報告:これまで掲載しておりましたノミアレルギー性皮膚炎の猫の症例写真につきまして、ご提供頂いていた田村幸生先生(タムラ中央動物病院 群馬県前橋市)のお名前が未掲載となっておりました。この場を借りてお詫び申し上げますとともに、ご提供に感謝申し上げます。

病原体

ノミ

ネコノミ(Ctenocephalides felis)、イヌノミ(Ctenocephalides canis)、ヒトノミ(Pulex irritans)など。
日本で犬・猫につくノミは、ネコノミが大半を占めます。

犬・猫へ寄生した場合

症状
ノミアレルギー性皮膚炎を呈して脱毛した犬ノミアレルギー性皮膚炎を呈して脱毛した犬

刺咬による物理的刺激と唾液等による化学的刺激によって丘疹や強いかゆみなどが引き起こされます。かゆみにより激しくひっかくことで二次感染を起こし、皮膚症状を悪化させることがあります。ストレスも大きく、重症の場合は脱毛や削痩、貧血などを起こします(ノミ刺咬症)。

また、ノミの吸血時に注入された唾液がアレルゲンとなり、アレルギー症状を引き起こして強い痒みを生じることがあります。この痒みにより、自分で体を噛んだり引っ掻いてしまいその結果、化膿性皮膚炎などに進行します。犬では尻尾の付け根から背中にかけて脱毛を伴った皮膚炎が多く見られますが、猫では頸部から背中全域に進行する粟粒性皮膚炎が多発します。アレルギーの状態におちいった犬や猫は、たとえ1匹のノミに咬まれただけでもアレルギー性の皮膚炎を発症する可能性があります。したがって、徹底したノミ駆除対策が必要です。

予防法
  • 犬や猫の体表に寄生する成虫とその他環境中に生息する卵、幼虫、サナギに対して定期的に駆除を行い、感染を予防する。
  • ノミの寄生・繁殖状況に応じて、ペットに対しノミ成虫駆除効果と幼虫・卵の成長阻害効果を併せ持つ薬剤を使用する。
  • ペットが普段よく過ごしている場所、特に寝床を中心に掃除を徹底する。
  • ペットに使用しているタオルやマットなどは、ノミの卵が付いている可能性があるため、沸騰した湯に入れてよく洗う。

人へ寄生した場合

症状
ノミに寄生され、ノミ刺咬症になった人の足ノミに寄生され、強いアレルギー反応により、水疱を形成した人の足    林 正幸先生 提供

ノミの唾液に対するアレルギーにより、10分程度あるいは48時間前後で強いかゆみが生じます。皮膚に紅斑(直径1cm程度)や丘疹ができ、中央部には刺咬による出血斑があります。かゆみが強いため爪でひっかくことで二次感染を起こし、化膿する場合もあります。

治療法(一般的な方法)
  • かゆみ止め軟膏を塗布する。二次感染を予防するために刺咬部は清潔に保つ。
  • 二次感染を生じた場合、抗菌薬の軟膏と抗ヒスタミン軟膏を塗布する。
予防法

ペットへのノミの寄生だけでなく、住環境におけるノミの物理的・化学的防除が必要です。

  • 定期的にペットへのノミ成虫の駆虫を行う。
  • ペットの休憩場所を中心に室内の四すみ、ソファーやベッドの下などノミの卵や幼虫が繁殖しやすい場所を、特に念入りに掃除する。
  • 掃除機のゴミパックに、首輪型のノミ駆除剤を切って入れておくことも効果的。
  • 室内でノミの繁殖が見られる場合は、室内用のノミ・ダニ駆除剤などを用いてノミ成虫および幼虫を駆除する。
  • 帰宅する際に、衣服をブラッシングするなどして、ノミを家の中に持ち込まないようにする。
(文責 獣医学博士 佐伯英治)