
フィラリア症(犬糸状虫症)は、蚊の媒介によって感染し、肺などの呼吸器官に病害をもたらします。犬の場合、予防はほぼ100%可能ですが、現在の予防薬は犬の体内に侵入した感染幼虫が発育する間に駆除するためのもの。つまり感染を防ぐものではないので、発症を予防するためには、定期的で確実な投薬が欠かせません。また、フィラリア症は発症例こそ少ないものの、人にも感染・発症することがあります(国内では約100例が確認されています)。
サエキベテリナリィ・サイエンス犬糸状虫(Dirofilaria immitis)
犬では、フィラリア(犬糸状虫)の成虫が心臓や肺動脈に寄生するため、血液循環障害を起こし、さまざまな症状が現れます。例えば散歩中にとても疲れやすくなり、階段を登るのを嫌がったり、興奮時や早朝に乾いた咳をするようになります。また、肝臓の肥大、腹水(お腹に水がたまること)、浮腫(ふしゅ:むくみのこと)、肺動脈塞栓(肺動脈の血管がつまること)、喀血(かっけつ:気道からの出血で血を吐くこと)、さらに多数が寄生している場合は、血尿や貧血、呼吸困難などをともなう急性症状が見られます。
猫では、感染しても寄生する数が少ないため、重い症状になるケースはまれです。しかし、数匹の寄生でも急性症状を引き起こし、突然死の一因となることがあります。
イヌ科の動物をはじめ、ネコや人など16種の動物に感染する可能性があります。
右の肺に見えるコイン型の陰影無症状の場合が多いのですが、まれに咳や血痰(けったん)、胸痛、呼吸困難などが見られることもあります。
蚊がすでにフィラリアに感染している犬(猫)を吸血したとき、同時にミクロフィラリアも吸引され、蚊の体内に侵入、発育をはじめます。数週間かけて育った幼虫は感染力を持ち、蚊が吸血する際に、その刺口から新しい宿主に侵入します。
動物と動物の間はもちろん、動物と人との間でも病原体を媒介します。
犬糸状虫を媒介する蚊は、日本では4属16種類が知られています。