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エールリヒア(エーリキア)症

エールリヒア症は、複数のエールリヒア属リケッチア(動物や人の細胞内で増殖する細菌)によって引き起こされる感染症です。犬に臨床上重篤な症状を引き起こす、最も重要なマダニ媒介性感染症のひとつです。

病原体

グラム陰性球状のリケッチア

グラム陰性球状のリケッチア
数種のエールリヒア亜属に分かれ、主に犬猫で病原性を示すものとしてEhrlichia canisが挙げられる。他には、E. ewingii(犬)や E. chaffeensis(ヒト)などが報告されている。

病原体を媒介する動物

クリイロコイタマダニRhipicephalus sanguineus

様々な種のマダニ(写真は、クリイロコイタマダニRhipicephalus sanguineus

犬へ感染した場合

症状

8~20日間の潜伏期間後に、急性期には間欠熱、リンパ節腫脹、脾腫、肝腫大、(鼻)出血、体重減少などを示し、慢性期には網膜出血、前眼房出血、および前または後ブドウ膜炎や、発熱、血球減少症に続発する骨髄増生などの症状が見られます。

治療法

テトラサイクリン系抗生物質を投与します。

予防法

定期的なマダニ駆除薬の使用により、マダニに咬み付かれるのを防ぎ、感染予防を図ります。

人へ感染する可能性

犬に寄生するエールリヒア・カニス(E. canis)は人には感染性を示しません。
人にはE. chaffeensisが感染し病原性を示します。(ヒト単球性エールリヒア症)
媒介マダニ種であるAmblyomma americanum (Lone Star Tick)が主にアメリカに生息しており、この疾患も主としてアメリカにおいて人獣共通感染症として報告があります。

(文責 獣医学博士 佐伯英治)